失われたものたちの本

例の本、我慢できずに読んでしまった。


読んだ人の多くは「はてしない物語」を類例に挙げそうだし、それは概ね合ってると思うけど、
「海辺の王国」あたりと比較した方がより面白いんじゃなかろうか。
これらの作品は、
人生の中で失われたものそのものは基本的にどうにもならないし、
子どもだからといって安易な回復の機会が与えられるわけでもないってあたりが
だいたい共通しているところだと思うけど、
「失われたものたちの本」はそのような厳しさに対する語り口が結末も含めて独特なのが面白い。
子ども向けには子ども向けらしく優しい嘘をつけばいいのだ、
みたいなのとはちょうど正反対のやり方で
子ども向けの物語を描こうとしているのは良いと思う。


あと、読んでいる最中は
押しつぶされるような圧迫感があり、
内容の残酷さ(と、そこから類推される主人公の心境)も相まって不安と暗さばかりが先立つんだけど、
構成がかなりしっかり練られているおかげで、
読み終わってパラパラめくりかえしたときに残酷だけど面白い冒険譚として思い返せるのも良い。