幕末太陽傳

傑作。2014年の今見ても全く古さを感じさせない。
上映当時の品川の風景から始まるオープニングからしてセンスが良い。佐平次がセットを壊し現代まで逃走するという、幻のラストシーンの構想が実現しなかったのが本当に悔やまれる。


何よりも喜劇としての出来が素晴らしい作品。
幕末という時代や佐平次の病気といった重さ(何度も出てくる犬や人間の死体がいかにも佐平次の行く先を暗示しているかのよう)と、落語をベースにした物語とそれを支える芝居の軽妙さ、この二者のコントラストが良く映える。そしてそれによって、死を笑い飛ばし逃げ出しながら猶あっけらかんと刹那的に生きようとする雰囲気にこそ、喜劇としての面白さは成り立つ。
ていうかエヴァはマジで関係ない。


映画を実際に見ているときは、
佐平次の病気を一本通した軸にしつつ、割と行き当たりばったり気味に落語が並べられているという印象を受けるのだが、
終わってみれば
佐平次が居残りになるまで、若旦那を助けて遊郭を出て行くくだり、そこからラストまでと
分かりやすい区切りのつけられる構成になっており、非常にまとまった印象に変わる。
そのストーリーラインに乗っかって見るには、序盤の混沌とした中から佐平次を主役格として出来るだけ早く認識する必要があるのだが、
これはプロットの工夫よりも俳優の力によるものの方が大きそうだ。
フランキー堺、凄いね。