率直に言って残念でした。このテーマだったらもっとずっとヤバい領域をやれたはずなのに、理性で強く抑え込まれてしまった感じがする。序盤の雰囲気をうまく持続すれば行けそうだっただけに、本当に残念。

 

監督がやりたいことと、インスパイア元(もちろん「失われたものたちの本」の方)のテーマとのズレがうまく解消されないまま、人物配置が引き継がれてしまっているのがずっと足を引っ張っていたような気がする。もっと自由にやった方がよかったんじゃなかろうか。というか、映画を見る限りインスパイア元のテーマではなく形式を気に入ったんだろうから、そこだけ使えばよかったのに。

 

そもそも、罠と知りつつそこへ飛び込む少年がああいう感じの結末になることからして、根本的な部分でもう自分にとって興味の持てる作家ではなくなったということなのかもしれない。丸くなって良いことなんて何もないな。

 

 

ただし、武運長久 片山一良と、あからさまなベックリン出したあとに「死の匂い」とか言い始めるあたりは絶対に爆笑ポイントだったと思うのに、自分以外の観客が全く無反応で、それは客が悪いと思った。