おおかみこどもの雨と雪」試写を見た。
見て損はない映画だとは思う。


ひとつ思ったのは、今の細田監督はキャラクターが成立することを信頼していないんじゃないか。それなりの年齢の一般向け、というくくりを考慮しすぎているのかもしれない。
ここでいう「一般」というのは、紙に描かれたキャラクターへの感情移入の度合いが低い、ということ。そういった素質があり、よく慣れている人であれば、二次元の実在しないキャラクターの存在およびそれに感情移入することをスムーズに行えるんだけど、抵抗感がある人や慣れていない人の場合、その壁を乗り越えさせることが難しかったり、端的に幼稚であると感じる*1。だから、アニメで内面なり心情なりを深くえぐるような描写をしようとしたとき、観客の中でキャラクターがきちんと成立しているか(実在しているかのように感じ取れるか)どうか、という点で、意外と大きな障壁がある。
細田監督は、その障壁を観客に乗り越えさせよう、という風には思っていないんじゃないか。総体的にそう感じたというよりは、いくつかの具体的な見せ場のカット割りからそう思った。有体に言えば、もっと「気持ちよく」作ろうと思えば作れたんじゃないか、と。
その代わり、画にはかなりの信頼を置いていた。印象に残るようなレイアウト、心情を露骨に象徴させる構図、そういったものはとても多い。それらもそれなりの尺を取ってじっくり見せている。だから、キャラクターの心情に観客を寄り添わせてカタルシスを得るよりも、状況を描くことに注力したのかもしれない。実際、現実的な話というよりも寓話的な捉え方をした方がしっくりくる。




ネタバレ抜きではこんなところ。まあ他にもいろいろと言いたい事はあるんだけど、とりあえずデジモン21話を見返す。




少しネタバレ込みの、見た人向け感想
http://d.hatena.ne.jp/Dawa/199908

*1:前者=オタクとも限らず、絵柄や描写のデフォルメ具合で反応はかなり変わってしまう